陰ながらエースをお送りします。国際結婚・離婚ハンドブック著者 田代純子

原告8人の方、弁護団の方、本当にご苦労様でございます。

思えば蓮舫事件で、法律も何もそっちのけで、ただただ二重国籍は悪、と決めつけるある種の風潮が出来上がってしまいました。それに加担したのは、常時勉強不足の日本メディア。先に言ったものが勝ち、という子供じみた理論。今年はまっとうな人たちがいろいろ集会やシンポジウムを開きましたが、燃え上がった火を消すにはあまりに熱い、という後悔ばかりが目につきます。

もう日本の世論が重国籍に理解を示すのを待っていたら、100年も200年もかかる、打開策は裁判しかない!という気持ちに私はなっています。成人二重国籍で日本国籍を失った人たちがあちこちから野火のように手をあげて、国籍法の違憲性を批判してほしい、そして判例を積み上げて、重い国の腰を上げさせる、これが一番の近道でしょう。

しかし、その費用を思うと、そう気軽にどなたにでも勧めるわけにはいきませんが。 これはわたしの古い思い出ですが、1985年の国籍法改正があってからしばらくして、NHKラジオのニュースで次のような報道がされました。誰も注意を払わないほどの小さいニュースでした。

当時はいわゆる「中国残留孤児」の皆さんが日本を訪れていたのですが、その中のひとりが、国籍裁判に勝った、というニュースを聞きました。中国で一人残された彼は、中国国籍を取り養父母に育てられたのですが、日本に永住する決意を固めました。ところが法務省は、彼が任意で外国籍を取ったとして、日本国籍を抹消したのです。

彼は裁判に訴えて、勝訴しました。もう今更判決を探すこともできませんが、このような例は結構あったのでは、と思われます。皆さんの裁判は最高裁に行くまでに4年ほどかかると言われています。途中で嫌になるようなこともあるかもしれません。しかし、8人の皆さんが結束固く弁護士さんたちと共に断固とした姿勢で臨まれれば、きっと良い結果がもたらされることでしょう。これは後に続く方たちの大きな勇気になります。どうぞお体だけは気をつけられて、戦い抜いてくださいますよう、お祈りいたします。

国際結婚を考える会
国際結婚・離婚ハンドブック著者 田代純子