第六回口頭弁論期日報告

2019年10月10日

原告ら訴訟代理人             

弁護士  椎名 基晴  

 今回の期日で原告は多数の準備書面を提出しますので、準備書面の順番にそって、原告の主張の概要を陳述いたします。

1 準備書面(7)

 準備書面(7)は、準備書面(8)から準備書面(13)までの準備書面間の関係を示した目次的な書面です。

2 準備書面(8)及び準備書面(9)

 準備書面(8)及び準備書面(9)は、国籍法の分析を通して、被告の主張の誤りを指摘するものです。以下個別に説明します。

 準備書面(8)では、国籍の意義に関する被告の主張について、その主張が古典的に過ぎ、本件の問題解決において無益であるどころか、国籍の問題に対する争点の整理と正しい理解を妨げるものですらあることを指摘しています。そのうえで、国籍法11条1項の立法目的に関する被告の主張に反論をしています。

 準備書面(9)では、複数国籍の防止という立法目的に関する被告の主張について、そもそも複数国籍の弊害の存在自体が疑わしいことを詳細に検討しています。そして、国籍法11条1項の立法目的達成手段の合理性に関する被告の主張にも反論しています。

3 準備書面(10)及び準備書面(11)

 準備書面(10)及び準備書面(11)では、憲法と国籍法の関係の分析を通して、被告の主張の誤りを指摘し、原告らの主張が認められるべきことを確認しています。以下個別に説明します。

 準備書面(10)では、日本国籍を剥奪されない権利が憲法上保障されないとし、そして国籍法に関する立法裁量は広いなどとする被告の主張に対して、その誤りを示し、国籍法11条1項が違憲無効であることを確認しています。

 準備書面(11)では、国籍法11条1項が憲法14条の平等原則に違反しないなどとする被告の主張に反論しています。仮に1984年時点では未だ平等原則違反の状態はなかったとしても、立法事実の変遷により遅くとも1997年頃には平等原則違反の状態が生じていたことを示し、その頃以降、国籍法11条1項が違憲無効であることを示しています。

4 準備書面(12)

 準備書面(12)は国家賠償請求についての書面です。特に、遅くとも1984〜1989年ころには被告が国籍法11条1項を違憲であると気づいていた、あるいは容易に気づくことができたことを示しています。

5 準備書面(13)

 準備書面(13)は、準備書面(9)と(11)の求釈明事項を含めて、被告に対する求釈明事項をまとめた書面です。

6 準備書面(14)

 準備書面(14)は、準備書面(15)と準備書面(16)の概要を示す目次的書面です。

7 準備書面(15)

 準備書面(15)は、国籍喪失の場面での自己決定権の観点から、国籍離脱を強制されない自由(国籍を恣意的に奪われない自由)が憲法上保障される重要な権利であり、国籍法11条1項の違憲性が厳しく審査されるべきであることを示すものです。

8 準備書面(16)

 準備書面(16)は、これまでの原告の主張を踏まえた上で、国籍法を取り巻く社会状況を示し、今回の裁判では国籍法11条1項を違憲無効とする判断が下されるべきであることを、論じるものです。

ご清聴ありがとうございました。

以上

第六回口頭弁論期日提出 準備書面(PDF)