控訴審・第1回口頭弁論、期日報告(2)意見陳述

2021年6月29日

控訴人団代表             

  野川 等

 本日は、コロナウイルスの隔離期間が設けられている関係で、日本に帰国し、出廷することがかないませんでした。この陳述書を代理人に代読してもらうことを、ご容赦ください。

 今年1月の東京地方裁判所の判決には、驚きました。

 原告の岩村さんたち2名は、門前払い。

 国籍法11条1項は合憲だとする理由として、兵役とか納税義務とかが衝突するという内容で、目を疑いました。判決には、私たちが訴えた、国籍を奪われた苦しみや外国で生き抜いていくうえでの悩みや苦しみが、全く触れられていません。なぜ私たちの陳述書や尋問の内容を完全に無視するのでしょうか。

 地裁で、私は、裁判長から尋問を受けています。そのときの裁判長の質問の内容や、私の回答を聞いていた裁判長の様子からは、まさかこんな判決になるとは、思いもしませんでした。これが日本の裁判所なのかと、今も怒りがおさまりません。

 判決がどう間違っているかは、弁護団が控訴理由書にまとめてくれました。

 そして、控訴準備書面のしめくくりに書いたとおり、私たち控訴人や、大勢の人たちが、いまなお明治憲法の下に置かれたまま、主権者ではなく支配されるべき「臣民」として扱われ、「棄民」として見捨てられつづけています。これからの世代、子どもたちも、苦しめられつづけるでしょう。

 私たち、そして国籍法11条1項に苦しめられる大勢の人たちを救うことができるのは、裁判所しかありません。

 将来の世代、未来の子どもたちのためにも、真摯な審理をよろしくお願い申し上げます。

以上